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Column 01 — Home Loan Tax Deduction

住宅ローン控除とは?
控除率0.7%・借入限度額・確定申告まで、判断に必要な数字をひとつに整理

公開日:2026年7月1日 執筆:K agency 編集部(宅地建物取引士・FP・金融機関出身の実務知見)

「マイホームを買うと税金が戻るらしい」――そう聞いて気になっている方は多いのではないでしょうか。住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)は、要件を満たせば毎年の税負担が確かに軽くなる、購入検討者にとって見逃せない制度です。

ただ、いざ調べ始めると「控除率は?」「いくらまで対象?」「中古でも使える?」と条件が細かく、途中で挫折してしまう方が少なくありません。K agencyでも、ご相談の場でもっとも質問が多い論点のひとつです。本記事では、判断に必要な数字を3つの軸に整理し、具体的な計算例と手続きの流れまでを一気に確認できるようにまとめました。

本記事の前提

2025年(令和7年)入居分までの確定した制度内容を基準に整理しています。2026年以降に入居される場合は、税制改正により内容が変わる可能性があるため、必ず国税庁の最新資料でご確認ください。個別の適用可否は、税務署・税理士への確認をおすすめします。

住宅ローン控除の仕組み ― 「年末残高 × 0.7%」で考える

ざっくり言うと、住宅ローン控除は「年末時点のローン残高に0.7%をかけた金額が、その年の所得税から差し引かれる」制度です。2022年の制度改正以降、控除率は年末残高の0.7%に設定されています。

例えば年末のローン残高が3,000万円であれば、3,000万円 × 0.7% = 21万円が、その年の控除額の目安です。これが原則として複数年(新築なら最長13年)続くため、トータルの効果は決して小さくありません。

カンタンに言うと

「払ったお金が戻る」のではなく、「ローン残高に応じて納める税金が軽くなる」制度です。残高は返済とともに年々減っていくので、控除額も少しずつ小さくなります。

所得税で引ききれない分は、住民税からも一部控除

控除額がその年の所得税より大きい場合、引ききれなかった分の一部は翌年度の住民税から差し引かれます(前年課税所得の5%・最高9万7,500円という上限があります)。「所得税が少ないと控除を使い切れないのでは」というご心配をよくいただきますが、この仕組みで一定程度カバーされます。

3つの軸で整理する:控除率・控除期間・借入限度額

制度が複雑に見えるのは、複数の数字が同時に出てくるためです。次の3つの軸に分けると、全体像がすっきり整理できます。

内容(2024〜2025年入居分)
控除率年末ローン残高の 0.7%
控除期間新築・買取再販:原則13年/中古(既存住宅):原則10年
借入限度額住宅の省エネ性能世帯属性で変わる(下表)

借入限度額は「住宅の省エネ性能」で決まる

近年の改正でもっとも大きく変わったのがこの部分です。環境性能の高い住宅ほど控除対象となる借入限度額が大きく、恩恵を受けやすい設計になっています。新築・買取再販の場合の限度額は次のとおりです。

住宅の区分(新築・買取再販)一般世帯子育て・若者夫婦世帯 ※
認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅)4,500万円5,000万円
ZEH水準省エネ住宅3,500万円4,500万円
省エネ基準適合住宅3,000万円4,000万円
省エネ基準を満たさない一般新築原則対象外(2023年末までに建築確認を受けた場合は 2,000万円・10年の経過措置)

中古(既存住宅)の場合は、認定住宅・ZEH水準・省エネ基準適合で3,000万円、それ以外の一般住宅で2,000万円(いずれも控除期間10年)が限度額です。

見落としやすいポイント

省エネ基準を満たさない新築は原則対象外」という変更は、以前の感覚のままだと見落としがちです。検討中の物件がどの区分に該当するかは、販売会社に省エネ性能の証明書類(建設住宅性能評価書・BELS評価書など)の有無を必ず確認してください。

子育て世帯・若者夫婦世帯の上乗せ特例

上の表にあるとおり、「19歳未満の子どもがいる世帯」または「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」には、新築等の借入限度額が上乗せされる特例があります(2024年入居分から導入され、2025年入居分にも延長)。

例えばZEH水準の新築を購入する場合、一般世帯の限度額3,500万円に対し、子育て・若者夫婦世帯は4,500万円。借入額が大きい方にとっては、控除額の差が年間で最大7万円(1,000万円 × 0.7%)に達する可能性がある、影響の大きい特例です。ご自身の世帯が該当するかは、入居年の12月31日時点の状況などで判定されるため、詳細は国税庁資料でご確認ください。

対象になる人・住宅の要件

誰でも・どんな住宅でも使えるわけではありません。主な要件を整理します。

床面積は登記簿上の面積(内法面積)で判定されます。マンションの広告に載っている「壁芯面積」より小さくなるのが通常で、広告で50㎡台前半の物件は登記簿では50㎡を切ることがあります。ここで適用可否が分かれるため、50㎡前後の物件を検討中の方は契約前に必ず登記面積を確認してください。

「いくら戻る?」を具体的に試算する

数字だけでは実感が湧きにくいので、シンプルな前提で試算してみましょう。あくまで仕組みを理解するための架空の計算例で、実際の控除額は所得・残高・住宅の区分によって変わります。

計算イメージ(架空の前提)

省エネ基準適合の新築を借入3,000万円・35年返済で購入し、初年度の年末残高が2,940万円だった場合:

2,940万円 × 0.7% = 約20.6万円(初年度の控除額の目安)

残高は返済とともに減るため控除額も毎年逓減しますが、13年間の合計では200万円前後に達するケースもあります(金利・返済ペース・所得により変動します)。

月々の家計感覚に翻訳すると、初年度の約20万円は「月あたり約1.7万円分、税負担が軽くなる」イメージです。ただし、これは「戻ってくるお金」であって「儲け」ではありません。住宅購入の判断は控除額ではなく、返済計画と暮らし全体で行う――この順番は、K agencyが一貫してお伝えしている判断軸です。

手続き:初年度は確定申告、2年目以降は年末調整

会社員の方がもっともつまずきやすいのが手続きです。ポイントは「1年目」と「2年目以降」で方法が違うこと。

  1. 1年目:入居した年の翌年に、ご自身で確定申告を行います(登記事項証明書、借入金の年末残高証明書、省エネ性能の証明書類などを添付)
  2. 2年目以降:税務署から届く控除証明書と金融機関の残高証明書を勤務先に提出すれば、年末調整で完結します

「会社員だから確定申告は関係ない」と思い込んでいると、1年目の申告を忘れて控除を受けそびれる――という行き違いが実際に起こりがちです。入居した年の翌年2〜3月は、カレンダーに印を付けておくことをおすすめします。

よくある誤解:「控除があるから、借入は多いほどお得」?

そうとは言えません。控除は納めた税金が軽くなる範囲の話で、借りたお金には利息がかかります。金利水準によっては控除率0.7%を利息負担が上回ることもあり、「控除のために多く借りる」という発想は本末転倒になりがちです。借入額は、控除ではなく返済計画全体で決めるのが基本です。

よくある質問(FAQ)

住宅ローン控除はいくら戻りますか?
年末残高×0.7%が目安です。年末残高3,000万円なら約21万円。所得税で引ききれない分は、上限の範囲で翌年度の住民税からも控除されます。
中古住宅でも使えますか?
使えます。控除期間は原則10年、借入限度額は一般住宅2,000万円・認定住宅等3,000万円が目安です。新耐震基準への適合(1982年以降築など)が要件です。
確定申告は毎年必要ですか?
会社員の場合は1年目のみ。2年目以降は年末調整で手続きできます。
ペアローンの場合はどうなりますか?
夫婦それぞれが債務者となるペアローンでは、要件を満たせばそれぞれが控除を受けられます。一方、収入合算(連帯保証型)では債務者のみが対象です。借り方によって控除の効き方が変わるため、ローン選びの段階で比較しておくと安心です。

実務で確認したいチェックリスト

住宅ローン控除は、要件を満たせば家計に確かなプラスをもたらす制度です。一方で、控除率・期間・限度額・性能要件・世帯特例と確認すべき軸が多く、「思っていたのと違った」という行き違いも起きやすい分野です。数字を正しく押さえたうえで、控除額ではなく総返済額と暮らし全体で判断する。それが、後悔しない住まい選びの判断軸だと私たちは考えています。

参考資料(最新の数値・要件は必ず各出典でご確認ください)
  • 国税庁 タックスアンサー No.1211-1「住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
  • 国税庁 タックスアンサー No.1211-3「中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」
  • 国土交通省「住宅ローン減税」制度概要資料

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の物件の購入や借入を勧誘・推奨するものではありません。制度は税制改正により変更される可能性があります。個別の適用可否・控除額は、税務署または税理士等の専門家にご確認ください。

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