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Column 13 — Investment Yield

「利回り8%」に飛びつく前に。
表面と実質の違いと、数字のからくりを整理

公開日:2026年7月11日 執筆:K agency 編集部(宅地建物取引士・FP・金融機関出身の実務知見)

「利回り8%!」という広告と「利回り4%」の物件。数字だけ見れば前者が良さそうですが、不動産投資の世界では「表面利回りの高さ」と「儲かるか」はまったく別の話です。むしろ高利回り表示の物件ほど、慎重に見るべきサインだったりします。

本記事では、利回りの計算式を「表面」と「実質」に分解し、営業資料では見えないコストの正体、そして「高利回り=お得」とは限らない理由を、具体的な計算例で整理します。投資判断の一番はじめに身につけるべき基礎です。

この記事で分かること

2つの利回り ― 計算式はこれだけ

種類計算式性質
表面利回り年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100広告に載る数字。経費・空室を無視
実質利回り(年間家賃収入 − 年間経費)÷(物件価格 + 購入時諸費用)× 100実態に近い数字。自分で計算するもの

ポイントは、広告・営業資料の利回りは原則「表面」であり、満室・経費ゼロという現実には存在しない前提の数字だということです。

見えないコスト ― 経費の全リスト

賃貸経営には、次の経費が毎年かかります(区分マンションの例)。

購入時にも、仲介手数料・登記費用・不動産取得税など物件価格の7〜10%程度の諸費用がかかります(仲介手数料の記事参照)。

計算例 ― 表面5.0%が実質3%台になる過程

計算イメージ(架空の区分マンション)

価格2,000万円/家賃8.4万円(年100.8万円)→ 表面利回り5.0%

ここから現実を織り込むと——
購入諸費用:+150万円(投資総額2,150万円)
年間経費:管理委託5万+管理費・積立金18万+固定資産税7万+保険1万 = 約31万円
空室5%:収入は約95.8万円に

実質利回り =(95.8万 − 31万)÷ 2,150万 ≒ 3.0%

表面5.0%の物件の実態は3.0%。この差を最初から見込めるかどうかが、初心者と経験者の分かれ目です。

「高利回り」の数字のからくり

利回りは「価格が安いほど」「家賃想定が強気なほど」高く出ます。つまり表面利回りの高さは、しばしば次の裏返しです。

よくある誤解:「利回りが低い=悪い物件」でもない

都心の駅近物件は利回りが低い代わりに、空室リスクと価格下落リスクが小さい傾向があります。利回りはリスクの対価。「何%か」ではなく「その%に見合うリスクか」を見るのが正しい使い方です。

ローンを使うなら ― もう一つの数字「返済後の手残り」

融資を使う場合、利回りとローン金利の差(イールドギャップ)だけでなく、最終的には「毎月の返済後にいくら残るか(キャッシュフロー)」がすべてです。

先の例(実質年64.8万円)で、借入1,800万円・金利2%・25年返済なら年間返済は約91.6万円。年間の手残りはマイナス約27万円——実質利回りがプラスでも、借入条件次第で毎月持ち出しになる。これが「利回りだけでは買えない」理由です。

よくある質問(FAQ)

利回り何%以上なら買っていいですか?
一律の基準はありません。立地・築年・構造によって「適正な利回り」は変わり、高利回りはリスクの対価です。表面ではなく実質利回りとローン返済後の手残りを、物件ごとに計算して比較するのが唯一の方法です。
営業資料の「想定利回り」は信用できますか?
想定家賃の根拠を必ず確認してください。周辺の実際の募集事例(同じ建物・類似条件)と突き合わせ、現行家賃が相場より高い場合は退去後の下落を織り込む必要があります。
新築ワンルーム投資の勧誘を受けています。
新築は価格に販売経費が乗るため利回りが低く、購入直後に価格が下がりやすい構造です。「節税になる」「保険代わり」という説明だけで、返済後キャッシュフローの提示がない提案は、数字を自分で引き直すことを強くおすすめします。
利回り以外に何を見るべきですか?
賃貸需要(人口動態・駅距離・競合供給)、修繕履歴と長期修繕計画、管理状態、出口(売却時の想定価格)です。書籍『副業で資産を築く 不動産投資の教科書』では、これらを5つの判断軸として体系化しています。

物件検討時のチェックリスト

利回りは、物件を選ぶ道具ではなく物件を疑う道具です。広告の数字を鵜呑みにせず、実質利回りと手残りを自分の手で計算する——この基礎動作だけで、不動産投資の失敗の多くは事前に避けられます。

参考資料
  • 国土交通省「マンション総合調査」(管理費・修繕積立金の水準)
  • 本記事の計算例はすべて架空の前提によるものです

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、不動産投資への投資勧誘・特定物件の推奨を行うものではありません。投資判断はご自身の責任において、専門家の助言も活用のうえ行ってください。

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