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Column 05 — Fixed or Variable

住宅ローンは変動と固定どっち?
「金利の当てっこ」ではなく、家計の耐性で決める判断軸

公開日:2026年7月9日 執筆:K agency 編集部(宅地建物取引士・FP・金融機関出身の実務知見)

住宅ローンを組むとき、ほぼ全員がぶつかる二択があります——「変動金利と固定金利、どっちにすべき?」。ネットには正反対の意見があふれ、調べるほど分からなくなる方が少なくありません。

実はこの問いに万人共通の正解はありません。ただし、「何を比べて、どこで決めるべきか」という判断の手順には定石があります。本記事では、両者の仕組みの違いから、見落とされがちな「5年ルール・125%ルール」、家計タイプ別の向き不向きまで、数字で整理します。

本記事の前提

2024年の政策金利引き上げ以降、変動金利も上昇に転じるなど、金利環境は変化しています。本記事は仕組みと判断軸の整理を目的とし、将来の金利を予測するものではありません。最新の金利水準は各金融機関でご確認ください。

この記事で分かること

まず全体像 ― 金利タイプは実質3種類

タイプ金利の動き一般的な水準感
変動金利半年ごとに見直し(短期プライムレート連動が主流)3タイプで最も低い
当初固定(10年固定など)当初期間だけ固定、期間終了後は再選択中間
全期間固定(フラット35など)完済まで一定最も高い

低い金利には「金利上昇リスクを借りる側が持つ」、高い金利には「リスクを金融機関に引き受けてもらう保険料が乗っている」——構造はこれだけです。住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」では、近年は利用者の7割超が変動型を選んでいますが、多数派だから安全という話ではありません。

変動金利の仕組み ― 「5年ルール」と「125%ルール」

変動金利で誤解が多いのがここです。多くの銀行の変動型には、次の2つのルールがあります。

気をつけたいポイント:「返済額が変わらない」=「安心」ではない

金利が上がると、返済額の中の利息の割合が増え、元金の減りが遅くなります。急上昇時には利息が返済額を上回る「未払利息」が発生することもあり、その分は後送りされるだけです。ルールは「家計の急変を防ぐ緩衝材」であって、「支払い総額を守る仕組み」ではありません。また、このルール自体を採用していない金融機関もあります(契約前に要確認)。

月々いくら違う? ― 3,000万円での試算

仕組みを実感するために、シンプルな前提で比べてみましょう。架空の金利水準による計算例です(実際の適用金利は時期・審査・優遇条件で変わります)。

計算イメージ(借入3,000万円・35年・元利均等)

変動 年0.6%:月々 約79,000円/総返済 約3,330万円
全期間固定 年1.8%:月々 約96,000円/総返済 約4,040万円

月々の差は約1.7万円、年間約20万円。この差額が「金利上昇の保険料」に相当します。逆に言えば、変動を選ぶ場合はこの差額を使ってしまわずに貯めておくことが、そのままリスク対策になります。

向き不向き ― 家計タイプ別チェック

変動金利が向きやすい方

固定金利が向きやすい方

要するに分かれ目は「金利が2%上がっても家計が耐えられるか」。耐えられるなら変動の低さは魅力、耐えられないなら固定の保険料には十分な意味があります。

見落とされがちな「当初10年固定」の落とし穴

「当初だけ固定」タイプは入口の金利が魅力的に見えますが、注意点があります。多くの商品では、固定期間が終わると金利の優遇幅が縮小し、その時点の水準で再選択になります。つまり「10年固定=10年後も同条件で続く」ではありません。10年後の残高が大きい借り方(長期・高額)ほど影響が出やすいため、固定期間終了後の優遇条件まで必ず確認してください。

よくある質問(FAQ)

いま変動で借りている場合、固定に切り替えるべきですか?
切り替え(借り換え含む)には諸費用がかかり、切り替え時点の固定金利が適用されます。「金利が上がってから固定へ」は、固定側もすでに上がっていることが多い点に注意。残期間・残高・費用を並べた試算で判断するのが確実です。
変動と固定を組み合わせる「ミックスローン」はどうですか?
リスクを半分にする折衷案として有効な場合があります。ただし契約が2本になり諸費用が増えることがあるため、費用込みで比較してください。
変動金利はどのくらいの頻度で上がるのですか?
適用金利の見直しは半年ごとが一般的です(多くの銀行は4月・10月)。店頭金利は短期プライムレートに連動し、これは日本銀行の政策金利の影響を受けます。
ペアローンの場合、夫婦で金利タイプを分けられますか?
分けられます。1本を変動・1本を固定にする実質的なミックスも選択肢です。あわせて住宅ローン控除もそれぞれ適用できます。

決める前のチェックリスト

変動か固定かは「金利の当てっこ」ではなく、自分の家計がどれだけリスクを持てるかを決める作業です。月額差を保険料と捉え、家計の耐性と突き合わせる——この順番で考えれば、どちらを選んでも「納得して選んだ」と言える判断になります。

参考資料(最新の数値は必ず各出典でご確認ください)
  • 住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」
  • 日本銀行「金融政策決定会合」公表資料
  • 各金融機関の住宅ローン商品説明書(5年ルール・125%ルールの取扱い)

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定のローン商品・金融機関を勧誘・推奨するものではありません。試算は架空の前提によるもので、将来の金利動向を予測するものではありません。個別の借入条件は金融機関・FP等の専門家にご確認ください。

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