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Column 04 — Sell or Rent

家は売るべき?貸すべき?
5つの判断軸と、見落とされがちな税金・ローンの論点を整理

公開日:2026年7月8日 執筆:K agency 編集部(宅地建物取引士・FP・金融機関出身の実務知見)

転勤、住み替え、実家の相続——「今の家、売るべき?それとも貸すべき?」という岐路は、多くの方に一度は訪れます。そしてこの選択は、数百万円単位で結果が変わりうるのに、感覚で決められてしまうことが少なくありません。

売るか貸すかに万人共通の正解はありません。ただし、判断の手順には定石があります。本記事では、K agencyがご相談の際に実際に使っている5つの判断軸と、見落とされがちな税金・ローンの論点を整理します。

この記事で分かること

5つの判断軸

判断軸売る寄りになる場合貸す寄りになる場合
① 戻る可能性戻る予定はない数年後に戻る可能性が高い(転勤など)
② 賃貸需要駅距離・間取り的に借り手がつきにくい賃貸ニーズの強いエリア・間取り
③ 収支家賃相場では手残りがマイナス経費・空室を見込んでもプラス
④ 資金ニーズ住み替えの頭金などまとまった資金が必要当面まとまった資金は不要
⑤ 手間の許容度管理・入退去対応は避けたい大家業(または管理委託)を許容できる

5つのうち3つ以上が同じ方向を向いていれば、方針はかなり絞れます。迷うのは判断軸が割れるケース——そのときこそ、次の「数字」の出番です。

貸す場合の収支 ― 「家賃」ではなく「手残り」で見る

「家賃15万円で貸せるなら、ローン返済12万円だから月3万円のプラス」——この計算は危険です。賃貸経営には経費がかかります。

計算イメージ(架空の前提:家賃15万円)

年間家賃収入 180万円に対して——
管理委託料(家賃の5%前後):▲9万円/固定資産税:▲12万円/火災保険・設備修繕の引当:▲10万円/入退去時の原状回復・募集費用(年平均化):▲10万円/空室率10%想定:▲18万円

実質の手残りは 年約121万円(月約10万円)。ローン返済が月12万円なら、見かけはプラスでも実質は月2万円の持ち出しという結果になります。

もちろん前提次第で結果は変わります。大切なのは、経費と空室を織り込んだ「手残り」でシミュレーションすることです。

見落とし① ― 住宅ローンのまま貸すのは原則NG

住宅ローンは「自分が住む」ことを条件にした融資です。無断で賃貸に出すと契約違反となり、最悪の場合は一括返済を求められるリスクがあります。

「まず銀行に相談」——これが貸す選択肢を検討するときの第一歩です。

見落とし② ― 「3,000万円特別控除」には実質的な期限がある

マイホームを売却するとき、譲渡益から最高3,000万円を控除できる特例(居住用財産の3,000万円特別控除)があります。ここで重要なのが適用期限です。

気をつけたいポイント

この特例は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却しないと使えません。「とりあえず数年貸して、その後売ろう」と考えている場合、このタイムリミットを過ぎると、売却時の税負担が数百万円変わる可能性があります(譲渡益が出るケース)。

つまり「貸す」という選択は、将来の売却時の税制優遇を手放すことと引き換えになり得ます。譲渡益が見込める物件ほど、この論点は重くなります。ほかにも、貸せば不動産所得の確定申告が毎年必要になる、減価償却の扱いが変わるなど、税務の論点が複数あるため、金額が大きい場合は税理士への相談をおすすめします。

まとめ ― 向いているケースの具体像

「売る」が向いているケース

「貸す」が向いているケース

よくある質問(FAQ)

「とりあえず貸して様子を見る」はダメですか?
選択肢としてはあり得ますが、「3,000万円特別控除の期限」「住宅ローンの扱い」「入居者がいると売りにくくなる(オーナーチェンジ物件は価格が下がりやすい)」の3点を理解した上での判断をおすすめします。
数年後に戻る予定です。普通に貸して大丈夫?
普通借家契約では、期間満了でも借主が希望すれば原則として契約が継続します(正当事由がないと退去を求められません)。戻る予定があるなら、期間満了で確実に契約が終了する「定期借家契約」の検討をおすすめします。家賃はやや下がる傾向がありますが、戻れないリスクを避けられます。
査定は売却と賃料、どちらを取ればいい?
両方です。「売ったらいくら」「貸したら手残りいくら」を同じテーブルに載せて初めて比較になります。K agencyでは両方の試算を並べてご提案しています。
空き家のまま置いておくのはどうですか?
維持費(固定資産税・保険・管理)がかかり続けるうえ、建物は空けたままだと傷みが早く進みます。「決めるまでの一時的な空き家」ならよいですが、長期化するなら売る・貸すいずれかの判断をおすすめします。

決める前のチェックリスト

売るか貸すかは、人生の中でも大きな意思決定のひとつです。感覚ではなく、数字(手残り)と期限(税制)を同じテーブルに載せて比較する——それだけで、後悔の確率は大きく下げられると私たちは考えています。

参考資料(最新の内容は必ず各出典でご確認ください)
  • 国税庁 タックスアンサー No.3302「マイホームを売ったときの特例(3,000万円特別控除)」
  • 国税庁 タックスアンサー No.1370「不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」
  • 国土交通省「定期借家制度」関連資料

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の取引を勧誘・推奨するものではありません。税制は改正される可能性があり、個別の適用可否は税務署・税理士にご確認ください。ローンの取り扱いは金融機関により異なります。

「売ったら」「貸したら」を、同じテーブルで比較しませんか。

K agencyでは売却査定と賃料査定・手残り試算を並べてご提案しています。
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