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Column 07 — Vacant House

空き家、「とりあえずそのまま」の値段。
維持費・税金6倍の仕組み・4つの出口をひとつに整理

公開日:2026年7月9日 執筆:K agency 編集部(宅地建物取引士・FP・金融機関出身の実務知見)

「実家を相続したけれど、住む予定も売る予定もない。とりあえずそのままに——」。実はこの「とりあえず」が、いちばん高くつく選択かもしれません。空き家は持っているだけで年間数十万円の維持費がかかり、放置すれば税金が跳ね上がる制度改正も進んでいます。

本記事では、空き家の維持にかかる実際のコスト、2023年の法改正で強化された「放置のペナルティ」、そして4つの出口(売る・貸す・管理する・解体する)の比較まで、判断材料を整理します。

この記事で分かること

維持費はいくら? ― 「何もしない」の値段

空き家は住んでいなくても、次の費用が毎年かかり続けます。

項目年間の目安備考
固定資産税・都市計画税5〜15万円立地・評価額による
火災保険料2〜5万円空き家は割増や引受制限も
光熱水道の基本料金2〜4万円通電・通水を維持する場合
管理費用0〜12万円管理サービス月5千〜1万円/自主管理なら交通費
庭木・草刈り・小修繕3〜10万円放置すると近隣トラブルの火種に
カンタンに言うと

合計で年間おおよそ15〜40万円。10年で150〜400万円です。「売るか貸すか決めるまでの保管料」としては、決して小さくない金額です。

放置のペナルティ ― 固定資産税「最大6倍」の仕組み

住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」で固定資産税が大幅に軽減されています(200㎡までの部分は課税標準が1/6)。ところが——

特例が外れると課税標準が本則に戻るため、土地の固定資産税は最大で約6倍に。つまり制度は「きちんと管理するか、活用・処分するか、早く決めてください」という方向へ明確に動いています。

気をつけたいポイント:「壊せば安心」でもない

建物を解体して更地にすると、住宅用地の特例そのものが使えなくなり、やはり土地の税額は上がります。解体は「売却・活用とセットで」が原則です。

お金以外の2つのリスク

① 損害賠償 ― 所有者責任は重い

台風で屋根瓦が飛んで通行人にケガをさせた、塀が倒れて隣家を壊した——こうした場合、民法717条により所有者は原則として無過失でも賠償責任を負います。空き家対応の保険に入っていなければ、賠償は全額自己負担です。

② 資産価値の劣化は「加速度的」

無人の家は換気・通水がされず、湿気とシロアリで傷みが一気に進みます。「数年放置したら、リフォーム前提でしか売れない状態になっていた」は典型例です。悩んでいる時間そのものが、選択肢と価格を削っていきます。

4つの出口 ― 比較表

選択肢向いているケース注意点
売却戻る予定がない/維持の手間を断ちたい空き家3,000万円控除は期限あり(相続から3年目の年末)。早いほど有利
賃貸立地に賃貸需要がある/資産として残したい古い家は改修費が先行。収支は経費込みで試算を
管理して維持将来使う予定が明確にある年15〜40万円の維持費+管理の手間が続く
解体して土地活用/売却建物の傷みが激しい/古家付きより更地が売りやすい立地解体費(木造で坪3〜5万円目安)+土地の税額上昇。自治体の補助金を確認

迷ったら「5年後もこの家を使う具体的な予定があるか?」と自問してみてください。予定が言語化できないなら、売却または賃貸で「お金を生む資産」に切り替えるのが、データ上も家計上も合理的な選択になりやすいです。

よくある質問(FAQ)

空き家に火災保険は必要ですか?
強くおすすめします。空き家は放火・自然災害・賠償リスクがむしろ高く、一方で通常の住宅向け保険では引き受け対象外になることがあります。「空き家対応」の商品か、現契約が空き家状態でも有効かを保険会社に確認してください。
特定空家に指定されるのはどんな状態ですか?
倒壊等の危険、衛生上有害、著しく景観を損なう、周辺の生活環境保全上不適切——のいずれかに該当する場合です。指定→助言・指導→勧告(ここで税特例解除)→命令→行政代執行(解体費は所有者請求)と段階的に進みます。
遠方に住んでいて管理に行けません。
月5,000円〜1万円程度の空き家管理サービス(換気・通水・外観点検・郵便物確認等)があります。また自治体の「空き家バンク」への登録で、売却・賃貸の相手が見つかることもあります。
解体費用の補助はありますか?
多くの自治体に老朽空き家の解体補助制度があります(数十万円規模が一般的)。要件・予算枠があるため、解体を検討する場合はまず市区町村の窓口で確認してください。

今日からできる応急処置チェックリスト

空き家問題の本質は、「家の問題」ではなく「決断の先延ばしの問題」です。維持費という確実なマイナスと、特例の期限というタイムリミット。この2つを数字で把握すれば、「とりあえずそのまま」が選択肢から自然に消えていくはずです。

参考資料(最新の内容は必ず各出典でご確認ください)
  • 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法」(令和5年改正)関連資料
  • 総務省「固定資産税(住宅用地の特例)」関連資料
  • 国税庁 タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の取引を勧誘・推奨するものではありません。維持費・解体費は物件・地域により大きく異なります。税制・補助制度は自治体・税務署・専門家にご確認ください。

その空き家、「維持した場合」と「手放した場合」を数字で比べませんか。

売却査定・賃料査定・維持費の試算を同じテーブルに並べてご提案します。
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