公式LINEで情報を受け取る 法人向け資料ダウンロード
ホームコラム住宅ローン
Loan

変動金利を選んだ75%の人が、次に備えるべきこと

川崎 拓也
川崎 拓也
宅地建物取引士/2級FP技能士
公開日:2026年8月3日 読了目安:7分

住宅金融支援機構が2026年1月に実施した調査によると、新規に住宅ローンを借りた人のうち75.0%が変動型を選択しています。固定期間選択型が14.9%、全期間固定型が10.1%ですから、変動型が圧倒的多数です。

これ自体は、合理的な選択でありうる判断です。問題は、その先の備えです。

75.0%
変動型を選択
(新規借入者)
58.8%
月1万円増でも
「返済継続できる」
27.2%
月3万円増だと
「わからない」

「1万円なら大丈夫、3万円だと分からない」

同じ調査では、金利上昇に伴い毎月の返済額が増加した場合の対応も聞いています。結果は明快でした。

返済額の増加月1万円増月3万円増
返済目処や資金余力があるので返済継続58.8%24.2%
繰上返済または借換え23.3%44.1%
見当がつかない、わからない15.5%27.2%

月1万円の増加なら、約6割が「返済を継続できる」と答えています。ところが月3万円になると、その割合は24.2%まで落ち、「見当がつかない」が27.2%まで跳ね上がります。

つまり多くの方が、いまの返済額では判断できていても、上振れしたときの返済額では判断できていない状態にあります。

月3万円は、金利何%の上昇で発生するか

抽象的な不安を、具体的な数字に置き換えてみます。借入3,500万円・35年返済・元利均等の場合、金利上昇による月々の返済額はおよそ次のように変化します。

金利毎月返済額(概算)当初との差額
0.5%90,854円
1.0%98,799円+7,945円
1.5%107,164円+16,310円
2.0%115,941円+25,087円
2.5%125,120円+34,266円

※ 借入3,500万円・返済期間35年・元利均等返済で試算した概算値です。実際の返済額は金融機関の計算方法により異なります。

この試算では、金利が0.5%から2.5%へ2ポイント上昇すると、毎月の負担は約3.4万円増えることになります。「月3万円の増加」は、決して非現実的な想定ではありません。

変動金利の2つのルール

多くの変動金利型ローンには「5年ルール」(返済額の見直しは5年ごと)と「125%ルール」(見直し後の返済額は従前の1.25倍まで)が設けられています。急激な返済額の増加は緩和されますが、返済額が抑えられている間も利息は発生しており、元金の減りが遅くなる、あるいは未払利息が生じる可能性があります。負担が消えるわけではなく、後ろ倒しになる仕組みです。

耐性を測る3つの手順

手順1|+1%・+2%の返済額を計算する

まず、自分の借入条件で金利が1%・2%上がった場合の毎月返済額を出します。金融機関のシミュレーターで数分あれば計算できます。この数字を知らないまま変動金利を選ぶのは、上限の分からない契約を結ぶのと同じです。

手順2|その金額を、家計のどこから捻出するか決める

「なんとかなる」ではなく、具体的にどの支出を削るのかを決めます。ここで初めて、月3万円が現実的な負担かどうかが判断できます。ボーナス頼みではなく、毎月の給与収入の範囲で成立するかを基準にしてください。

手順3|捻出できない場合の選択肢を先に持つ

捻出が難しいと分かった場合、取りうる手は限られています。

  • 借入額を減らす(購入前なら最も確実な方法)
  • 固定金利または固定期間選択型を検討する(当初金利は高くなるが、上限が確定する)
  • 繰上返済用の資金を積み立てておく(金利上昇時に元金を減らして返済額を抑える)
  • 借換えの条件を把握しておく(手数料・諸費用を含めた損益分岐点を知っておく)

重要なのは、金利が上がってから考えるのではなく、上がる前に選択肢を持っておくことです。上昇局面では、借換えの条件も同時に悪化します。

繰上返済に依存する計画の注意点

調査では、月3万円増加した場合の対応として「繰上返済または借換え」が44.1%を占めました。ただし繰上返済には、そのための手元資金が必要です。頭金を厚くして手元流動性を失っている場合、この選択肢自体が使えません。金利上昇への備えとしての現金は、頭金とは別に確保しておく必要があります。

まとめ ― 変動金利は「悪い選択」ではない

変動金利そのものが問題なのではありません。上限を把握しないまま選ぶことが問題です。

  • 新規借入者の75.0%が変動型を選択している
  • 月3万円の返済額増加に対し、27.2%が「わからない」と回答
  • 借入3,500万円なら、金利+2%で月々約3.4万円の増加になりうる
  • 5年ルール・125%ルールは負担を消すのではなく後ろ倒しにする仕組み
  • +1%・+2%の返済額を計算し、捻出元を決めておくことが最低限の備え

この3手順を踏んだうえで変動金利を選ぶのであれば、それはリスクを引き受けた合理的な判断です。判断していないことと、判断したうえで選ぶことの間には、大きな違いがあります。

出典・根拠 ・住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月調査)」― 金利タイプの選択割合、返済額増加時の対応 調査ページ
・返済額の試算は、借入3,500万円・返済期間35年・元利均等返済を前提とした概算です。実際の返済額は金融機関の計算方法・条件により異なります。
・5年ルール・125%ルールの適用有無は金融機関および商品により異なります。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の物件・取引の勧誘や、投資・税務・法務に関する個別の助言ではありません。実際のご判断にあたっては、必要に応じて税理士・弁護士等の専門家にご確認ください。

金利上昇の耐性、一緒に測りませんか。

ご自身の借入条件で+1%・+2%の返済額を試算し、家計のどこから捻出するかを整理します。元銀行員の視点から、審査の実像もお伝えします。

Related

あわせて読みたい

コラム一覧へ
無料診断 LINEで相談