畳数から総面積(㎡)への変更について
総面積には、台所・トイレ・浴室・廊下も含みます。
現物給与の額を給与に足して、健康保険・厚生年金保険の保険料のもとになる標準報酬月額を決めます。
| 項目 | 2026年9月30日まで | 2026年10月1日から |
|---|---|---|
| 数える面積 | 居住室だけ | 住宅の床面積の合計 |
| 単価の単位 | 畳1畳につき | 総面積1㎡につき |
| ㎡で表示された部屋 | 1畳=1.65㎡で換算 | ㎡のまま計算 |
9月までの単価を1畳=1.65㎡で1㎡あたりに直して比べると、47都道府県とも単価は下がりました。
ただし、数える面積は広がります。
台所・浴室・廊下などの割合が大きい住宅ほど、額は増えやすくなります。
総面積が居住室の約1.26〜1.45倍より小さい住宅では、額は下がります。
この倍率は、都道府県で違います。
総面積に含むもの・含まないもの
厚生労働省の通知と日本年金機構のQ&Aでは、次のように分けています。
| 総面積に含むもの | 総面積に含まないもの |
|---|---|
| 居住室(居間・寝室・洋室・和室など) | 別棟の物置・車庫 |
| 玄関・台所・トイレ・浴室・洗面室・廊下 | 共同住宅の廊下・階段などの共用部分 |
| 押し入れ・クロゼット | ほかの人と共同で使う部分 |
| 住宅の中の店・事務室など、営業に使う部分 | 商品倉庫・作業場など、営業用の付属の建物 |
アパートやマンションでは、住戸ごとの専用部分の床面積を使います。
年金機構のQ&Aの図では、バルコニーは対象に入っていません。
都道府県ごとの単価の例
単価は1人1か月あたりの額で、厚生労働省の告示で都道府県ごとに決まっています。
| 都道府県 | 9月30日まで(畳1畳につき) | 10月1日から(総面積1㎡につき) |
|---|---|---|
| 東京都 | 2,830円 | 1,330円 |
| 愛知県 | 1,560円 | 710円 |
| 大阪府 | 1,780円 | 820円 |
| 福岡県 | 1,430円 | 670円 |
47都道府県の単価は、日本年金機構の「全国現物給与価額一覧表」で確かめられます。
計算で1円未満の端数が出たときは切り捨てます。
2026年10月分から新しい計算になります
根拠は、2026年(令和8年)3月17日の厚生労働省告示第94号です。
年金機構のQ&Aでは、現物給与は締め日に関係なく、その月の1日から末日までの1か月分で計算します。
当月に給与を支払う会社では、10月に支払う給与と合わせる例が示されています。
翌月払いなどで迷うときは、年金事務所か顧問の社会保険労務士に確かめてください。
報酬に加える額の計算のしかた
報酬に加える額は、次の式で求めます。
勤務地の都道府県の単価 × 総面積(㎡) − 本人から受け取る家賃などの額
- 単価は、社宅がある場所ではなく、勤務地の都道府県のものです。
- 会社が払う実際の家賃が分かっていても、告示の単価で計算します。
計算の例
次の仮の前提で、9月までと10月からを比べます。
- 勤務地は東京都。健康保険は協会けんぽ
- 社宅はマンションの1室。居住室は合わせて16畳(26.4㎡)
- 台所・浴室・トイレ・廊下などを含む専用部分の総面積は40㎡
- 家賃のうち月3万円を、本人負担として給与から差し引いている
| 項目 | 9月30日まで | 10月1日から |
|---|---|---|
| 単価 | 1畳 2,830円 | 1㎡ 1,330円 |
| 面積 | 16畳 | 40㎡ |
| 住宅の価額 | 45,280円 | 53,200円 |
| 本人負担 | 30,000円 | 30,000円 |
| 報酬に加える額 | 15,280円 | 23,200円 |
この例では、報酬に加える額が月7,920円増えます。
等級が変わるかどうかは、基本給や残業代などと合わせた額と、等級の境目によります。
貴社の計算と判断は、顧問の社会保険労務士にご確認ください。
総務が確かめること
10月以降の給与計算と届出に向けて、次の5つを順に確かめます。
1. 社宅・寮の一覧をつくる
まず、社宅・寮に住む人と住宅を、次の項目で一覧にします。
| 一覧に入れる項目 | 使う場面 |
|---|---|
| 住んでいる人と、その勤務地の都道府県 | 使う単価を決める |
| 住宅の所在地と種類(借上げ・自社所有・寮) | 面積の書類を探す |
| 総面積(㎡)と、その数字を取った書類 | 価額を計算する |
| 同居する被保険者の人数 | 1人分の面積を出す |
| 本人負担額 | 報酬に加える額を出す |
| 入居日・退去日 | 日割りが要るかを見る |
| 協会けんぽか、健康保険組合か | 組合の別の定めを確かめる |
2. 各住宅の総面積を確かめる
同じ部屋でも、書類によって面積が違うことがあります。
マンションなどでは、募集図面やパンフレットの面積が、登記の床面積より大きいことが多くあります。
使った書類を一覧に書いておき、迷うときは年金事務所などに確かめてください。
3. 本人負担額との関係を確かめる
本人負担額が住宅の価額以上なら、報酬に加える額はありません。
価額が上がる住宅では、本人負担が同じでも加える額が増えることがあります。
所得税では、従業員の社宅は固定資産税の課税標準額などを使って計算します(国税庁 タックスアンサーNo.2597)。
所得税で給与として課税されない本人負担額でも、社会保険では報酬に加える額が出ることがあります。
役員社宅の税金は、役員社宅の始め方の記事にまとめています。
4. 月額変更届が要るかを確かめる
報酬が大きく変わったときは、年1回の見直しを待たずに標準報酬月額を改めます(随時改定)。
日本年金機構の案内では、現物給与の価額の改正は「固定的賃金の変動」に当たります。
このため、月額変更届が要る場合があります。
次の3つをすべて満たす人が対象です。
- 基本給や手当など、額や率が決まっている給与(固定的賃金)に変動がある
- 変動した月から3か月の報酬の平均で出した標準報酬月額が、2等級以上変わる。
報酬には残業代も含みます。 - 3か月とも、給与計算の対象になる日数(支払基礎日数)が17日以上ある。
特定適用事業所の短時間労働者は、11日以上が条件です。
たとえば、10月に支払う給与から住宅の額が変わる場合は、10月・11月・12月の3か月で判定します。
条件を満たせば、4か月目の2027年1月分から標準報酬月額が改定されます。
届出は、事務センターか管轄の年金事務所へ速やかに行います。
差が1等級の人は、上限・下限の等級にかかる場合を除いて対象外です。
その場合も、2027年の定時決定で、新しい計算の額が報酬に入ります。
定時決定は、4〜6月の報酬をもとに9月から見直す仕組みです。
5. 健康保険組合の別の定めを確かめる
協会けんぽの会社は、告示の価額で計算します。
健康保険組合は、現物給与の価額を規約で別に定めることができます。
厚生年金保険には、この仕組みはありません。
日本年金機構の事例集では、規約で別に定めている組合の被保険者は、規約の価額が変わらなければ随時改定の対象になりません。
組合のお知らせや規約を確かめ、厚生年金保険の扱いも含めて、顧問の社会保険労務士にご相談ください。
社宅・寮の条件に面積を入れる理由
10月からは、住宅の価額が総面積に比例します。
同じ家賃でも、広い部屋ほど報酬に加える額は大きくなります。
これから借りる社宅・寮は、面積も条件に入れておくことをおすすめします。
- 家族の人数ごとの広さの目安と本人負担額を決めておくと、社会保険の額を見通しやすくなります。
- 申込みの前に専用部分の面積を確かめておくと、一覧づくりが楽になります。
- 寮は、部屋の割り当て方や同居の人数で、1人分の面積が変わります。
K agency にご相談いただけること
K agency は、企業と働く方のための住まいの相談窓口です。
宅地建物取引業者と連携して、社宅・寮にする部屋探しのご相談を承っています。
外国人材の寮は、外国人材の住居のページでもご相談いただけます。
※ 物件のご提案と契約の手続きは、宅地建物取引業者が行います。
よくある質問
社宅が勤務地とは別の都道府県にあります。どちらの単価を使いますか?
人事・労務・給与を管理している事業所の所在地です。
本社と支店をまとめて1つの適用事業所にしている場合は、勤める本社か支店の所在地の単価です。
派遣労働者は、派遣元の事業所の所在地の単価です。
月の途中で入居した場合は、どう計算しますか?
1か月分の価額に、入居日以降の日数をその月の日数で割った割合を掛けます。
1円未満の端数は切り捨てます。
社員寮で1室に2人が住み、台所と浴室は共同です。どう数えますか?
同居する場合は、総面積を被保険者の人数で割って1人分を出します(厚生労働省の通知)。
社宅の面積が分からないときは、どうすればよいですか?
書類によって数字が違うことがあるので、使った書類を一覧に書いておきます。
労働保険(労災保険・雇用保険)の計算も変わりますか?
ただし、住宅の貸与が労働保険の賃金に当たるかどうかには、別の決まりがあります。
貴社の場合は、顧問の社会保険労務士にご確認ください。
出典
- 日本年金機構「全国現物給与価額一覧表(厚生労働大臣が定める現物給与の価額)」
- 日本年金機構「令和8年4月から現物給与の価額が改正されます」(全国現物給与価額一覧表・現物給与の価額Q&A、PDF)
- 日本年金機構「令和8年4月1日から現物給与価額が改正されます」
- 日本年金機構「日本年金機構からのお知らせ(令和8年9月号)」(PDF)
- 日本年金機構「随時改定(月額変更届)」
- 日本年金機構「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」(PDF。随時改定の問12)
- 日本年金機構 よくある質問「勤務地がA県、社宅がB県にある場合、現物給与の価額はどちらを使用したらよいですか。」
- 日本年金機構 よくある質問「本社と支店があわせて一つの適用事業所になっている場合、現物給与についてはどちらの地域の価額で計算したらよいですか。」
- 厚生労働省「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」(平成24年厚生労働省告示第36号。令和8年厚生労働省告示第94号による改正後。附則は2ページ目)
- 厚生労働省 通知「厚生労働大臣が定める現物給与の価額について」(令和8年3月17日 保発0317第3号・年管発0317第1号)
- 厚生労働省 通知「厚生労働大臣が定める現物給与の価額の取扱いについて」(令和8年3月17日 基徴収発0317第2号・保保発0317第3号・年管管発0317第14号)
- e-Gov法令検索「健康保険法」第46条(現物給与の価額)
- e-Gov法令検索「厚生年金保険法」第25条(現物給与の価額)
- e-Gov法令検索「不動産登記規則」第115条(建物の床面積)
- 国税庁 タックスアンサー No.2597「使用人に社宅や寮などを貸したとき」
※ 本ページは一般的な情報提供であり、特定の取引を勧誘・助言するものではありません。税金・社会保険・在留資格のご判断は、顧問の税理士・社会保険労務士・行政書士などの専門家にご確認ください。物件のご提案と契約の手続きは、宅地建物取引業者が行います。